「上司に言われた通りにやったはずなのに、なぜか評価されない…」 「誰よりも頑張っているのに、なぜか成果に結びつかない…」
多くのビジネスパーソンが一度は抱えたことのある、こうしたもどかしい悩み。その根本的な原因は、能力や努力の量ではなく、「解くべき問題そのものを間違えている」ことにあるのかもしれません。
経営学の巨人、ピーター・ドラッカーはこう述べています。
経営における最も重大な過ちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ。
私たちは、目の前に与えられた課題を疑うことなく、すぐに「どう解くか」を考え始めがちです。しかし、ビジネスの世界では、そもそも「何を問題として設定するか」が、その後の成果の9割を決めると言っても過言ではありません。
今回ご紹介する書籍、内田和成氏の『論点思考 BCG流 問題設定の技術』は、まさにこの「解くべき問題=論点」を見つけ出すための思考法を、誰にでも実践可能な形で解き明かした一冊です。
なぜ、あなたの仕事は「空回り」してしまうのか?
本書は、古典的なクイズから「問題設定」の本質を問いかけます。
問題:AさんとBさんの前にケーキが一つある。二人が納得するようにケーキを二つに分けたい。さて、どのように分けたらよいだろうか?
この問題に対して、「定規で測って正確に二等分する」「イチゴの数を揃える」といった「分け方」を考えてしまった方は要注意。このクイズの本当の問題は「正確に分けること」ではなく、「二人が納得すること」です。
正解は、「Aさんが切り分け、Bさんに好きな方を選ばせる」。
このシンプルなクイズが示すように、私たちは問題の本質(論点)を捉え違え、解決が困難な「間違った問い」に必死に取り組んでしまうことがよくあります。
本書では、こうした日常的な例から、企業の成長戦略といった複雑なビジネスシーンまで、豊富な事例を通して「論点設定」の重要性を浮き彫りにします。
- 食品メーカーの事例: コンビニに商品を置いてもらうため「どんな広告を打つべきか」を考えていたが、本当の論点は「広告がなくても置いてもらえるような、商品の差別化をいかに図るか」だった。
- 業務用機器メーカーの事例: 「どのような新製品を開発すべきか」という成長戦略に悩んでいたが、本当の論点は「既存顧客からいかに収益を上げるか」というビジネスモデルの転換にあった。
これらの事例のように、最初に「論点」を正しく設定しさえすれば、その後のアクションは驚くほどシンプルになり、そして大きな成果へと繋がっていきます。本書が提唱する「論点思考」とは、この問題解決の最上流工程を支配する、まさに「仕事のへそ」を見抜く技術なのです。
「論点思考」がもたらす3つの絶大なメリット
では、「論点思考」を身につけることで、仕事は具体的にどう変わるのでしょうか。
- 仕事の無駄が劇的に減る
論点を正しく設定することで、「考えなくても良いその他多くを捨てることができる」と著者は語ります。無数にある問題の中から、本当に解くべき価値のある問題に集中できるため、時間とエネルギーの浪費を防ぎ、最短で成果を出すことが可能になります。 - 問題解決の質とスピードが向上する
間違った問題にどれだけ完璧な答えを出しても、それは無意味です。論点思考は、問題解決のスタート地点を正しく定めることで、その後のプロセス全体を正しい方向へと導きます。優秀なコンサルタントが、分析作業は部下に任せても「論点の設定」だけは自ら徹底的に行うのは、このためです。 - リーダーシップの核となる能力が身につく
「自分で課題が何かを考えてその解決方法も自分で考える必要が出てくる。この能力が身につかなければリーダーや経営者にはなれない」と本書で指摘されている通り、論点設定能力は、人を導き、組織を動かす上で不可欠なスキルです。
今、『論点思考』を読むべき理由
本書は、これまで一部のコンサルタントの「名人芸」とされてきた思考プロセスを、誰にでも分かるように因数分解し、具体的なステップとして提示してくれます。
- 「論点候補を拾い出す」→「論点を絞り込む」→「論点を確定する」
この思考の型を学ぶことで、与えられた問題を鵜呑みにせず、「本当にそれが論点か?」と自問する癖がつき、問題の本質を見抜く力が養われます。
また、ベストセラーとなった前著『仮説思考』が「問題の解き方」をテーマにしていたのに対し、本書はその対となる「問題の発見・設定」を扱っています。この2冊をあわせて読むことで、問題発見から解決に至るまでの思考プロセス全体を体系的に理解することができるでしょう。
もし、あなたが今、
- 日々の仕事に追われ、何が本当に重要なのかを見失いがちだと感じている
- 自分の努力やアウトプットが、正当に評価されていないと感じる
- 問題の本質を見抜き、周囲を巻き込みながら成果を出せるようになりたい
と願うなら、本書はまさにそのための「思考の羅針盤」となるはずです。
仕事の成果は、費やした時間の長さや努力の量だけで決まるのではありません。正しい「問い」を立てられるか。その一点が、あなたのビジネスパーソンとしての価値を大きく左右します。
ぜひ本書を手に取り、日々の仕事の景色を変える「論点思考」の世界に触れてみてください。
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