将来のお金のこと、漠然とした不安を抱えている人は少なくないだろう。老後2000万円問題、なかなか上がらない給料、じわじわと迫りくる物価上昇の足音……。ただ真面目に働き、銀行にお金を預けておけば安泰という牧歌的な時代は、残念ながら終わりを告げたのかもしれない。
そんな、どんよりと立ち込めるお金の不安を、痛快なまでに吹き飛ばしてくれる一冊がある。お笑い芸人であり、IT企業の役員でもある厚切りジェイソン氏の著書『ジェイソン流お金の増やし方』だ。
「どうせ一部の才能ある人がやる難しいことでしょ?」 「ギャンブルみたいで怖い」
そんな投資への先入観は、この本を読み終える頃には木っ端微塵に打ち砕かれているはずだ。そこには、誰にでも真似できる、驚くほどシンプルで、それでいて本質的な「お金が増え続ける仕組み」の作り方が、彼の力強い言葉で記されていた。
目次
投資をしない日本人が失っている、あまりに大きな「機会」
この本の冒頭で、いきなり頭をガツンと殴られるような衝撃的な事実を突きつけられる。それは「投資をしていない人は、一番の無駄遣いをしている」という言葉だ。
多くの日本人は、汗水たらして稼いだ大切なお金を、せっせと銀行の預貯金に回している。日本の金融資産の実に54.2%が預貯金だというデータもある。一方、アメリカでは預貯金はわずか3.7%で、株式や投資信託がその多くを占める。この差は一体何を意味するのか。
ネット銀行の高い金利ですら、年利0.01%〜0.02%の世界。100万円を1年間預けても、増えるのはたったの100円か200円。ATMの時間外手数料を一回でも払えば、一年分の利息はあっけなく消し飛んでしまう。これが現実だ。
本書では「72の法則」という言葉が紹介されている。これは、資産が2倍になるまでのおおよその年数がわかる計算式(72 ÷ 金利 ≒ 年数)だ。金利0.01%の銀行預金で100万円を2倍にするには、なんと7200年かかる計算になる。もはや天文学的な数字で、冗談にしか聞こえない。
一方で、厚切りジェイソン氏が実践する投資法では、過去のデータ上、どのタイミングで始めても20年という長期で見れば年利が6.4%を下回ったことはないという。同じ「72の法則」で計算すると、およそ12年で資産は2倍になる。
銀行に眠らせておくだけで、得られたはずの利益。これこそが、彼が言う「機会損失」であり、「最大級の無駄遣い」の正体なのだ。この事実を知った時、ただただ愕然とするしかなかった。今まで「安全」だと信じてきた行為が、実は資産を増やすチャンスを自ら放棄する行為だったとは。
答えは“超”シンプル。ジェイソン流「ほったらかし投資術」の核心
では、一体何をすればいいのか。特別な才能も、毎日PCに張り付いてチャートを睨む時間も必要ない。本書で語られる投資法は、拍子抜けするほどシンプルだ。
- 支出を減らす
- 残りのお金を投資に回す
- ひたすら待つ
たった、これだけ。毎日株価をチェックしたり、経済ニュースに一喜一憂したりする必要は一切ない。このシンプルさこそが、多忙な現代人にとって最大の魅力であり、継続できる秘訣なのだろう。
具体的には「米国株のインデックスファンドに、長期・分散・積立で投資をし続ける」というもの。
なぜ、個別株ではなく「インデックスファンド」なのか。そこには、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏のある有名なエピソードが影響している。バフェット氏は「優秀なプロが運用するファンドと、市場平均に連動するインデックスファンド、10年後にどちらが利益を出すか」という100万ドルを賭けた賭けを行い、見事インデックスファンドが勝利した。投資のプロでさえ市場を読むのは至難の業。ならば、手数料が安く、市場全体に投資できるインデックスファンドが最も効率的だという結論に至るわけだ。
そして、なぜ世界中の市場がある中で「米国株」なのか。少し周りを見渡してみれば、その答えは自ずと見えてくる。手元のスマートフォンはApple製、PCのOSはマイクロソフト、検索はGoogleを使い、SNSはInstagram(Facebook)を開く。我々の生活は、アメリカの巨大グローバル企業によって支えられている。これらの企業はアメリカ国内だけでなく、全世界で利益を上げ続けているのだ。
さらに、アメリカ企業の経営者たちは、自社の株価を上げることに非常に貪欲だ。彼らの報酬は株価と連動していることが多く、株価を上げることこそが自らの利益に直結する。この剥き出しの資本主義の仕組みが、アメリカ経済の力強い成長エンジンとなっている。
この本では、具体的な推奨ファンドとして「楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)」が挙げられている。これ一本で、AppleやMicrosoftのような大企業から、将来大化けする可能性を秘めた中小企業まで、アメリカ市場のほぼ全体にまるごと投資ができる。まさに、投資初心者にとっての最適解の一つと言えるだろう。
投資の前にまずやるべきこと。資産を爆増させる「節約哲学」
投資の種銭となるお金は、天から降ってくるわけではない。投資額を増やすために、最も確実で、誰にでもすぐに始められる方法。それが「支出を減らすこと」だ。
本書の節約術は、単なる精神論ではない。非常にロジカルで、実践的だ。例えば、毎日なんとなく買ってしまう300円のコーヒー。年間で考えれば10万円を超える大きな出費になる。この10万円を年利5%で30年間複利運用すれば、なんと43万円以上になるという試算には、鳥肌が立った。日々の何気ない選択が、これほどまでに将来に大きな差を生むのだ。
「マネージャーが値段を見ずに1100円の和紙製マスクを買っていて信じられなかった」というエピソードは、この本の節約哲学を象徴している。それは、「自分が支払うお金が、その対価に見合う価値があるのかを常に考える」という姿勢だ。
- 自動販売機やコンビニでは飲み物を買わない
- スペックが変わらないなら安い代替品で十分
- ポイント倍増に騙されず、ポイントはご褒美ではなく日常の支払いに使う
紹介されている節約術は多岐にわたるが、根底にあるのは「ヘドニック・トレッドミル(快楽順応)」からの脱却だ。収入が上がると、それに合わせて生活水準を上げてしまい、いつまで経っても満足できず、幸せを感じられない状態。この不幸なループから抜け出し、本当に価値のあることにお金と時間を使う。これこそが、ジェイソン流節約術の真髄であり、精神的な豊かさにも繋がる道なのだ。
「コロナショックで利益が全て吹き飛んだ」体験談が教えてくれること
投資と聞くと、やはり「暴落」が怖い。本書では、厚切りジェイソン氏自身が体験した、コロナショックの生々しい体験談が語られている。
およそ15年かけて積み上げてきた利益が、毎日ものすごい勢いで吹き飛んでいく。一時期は、マンションの一室が購入できるほどの金額が、毎朝消えていく日々。積み上げた利益が全てなくなり、現金で持っていた方がマシだった、というほどの状況にまで陥ったという。
想像するだけでも、胃がキリキリと痛くなるような状況だ。多くの人が恐怖に駆られて、持っている資産を全て売り払ってしまう「狼狽売り」をしてしまう場面だろう。
しかし、彼は売らなかった。なぜなら、過去の歴史が「暴落は必ず回復する」ことを証明していたからだ。世界恐慌、リーマンショック、そして今回のコロナショック。市場は何度も暴落を経験しながらも、その度に力強く回復し、成長を続けてきた。この歴史とデータへの深い信頼が、彼を最悪の選択から救った。
そして結果的に、株価は驚異的なスピードで回復し、資産はコロナショック以前よりも大きく増えた。この体験談は、どんな金融理論よりも雄弁に、長期投資で最も大切な心構え、つまり「何があっても市場に居続けること」の重要性を教えてくれる。
もう先送りしない。今日が、未来を変える一番若い日
『ジェイソン流お金の増やし方』は、単なる投資のノウハウ本ではない。それは、お金に対する考え方を根本から変え、将来への漠然とした不安を「具体的な行動」へと転換させてくれる、強力な「スターターキット」だ。
この本を読み終えて強く感じるのは、お金は人生の目的ではない、ということ。お金は、何が起きても家族を守れるという「安心」と、自分の人生を自由に選択できるという「自由」を手に入れるための、あくまで「手段」なのだ。
木を植える一番良い時期は20年前だった。二番目に良い時期は、今だ。 という中国のことわざがあるように、投資を始めるのに最適なのは、まさに「今、この瞬間」だ。
もし、あなたが少しでも将来のお金に不安を感じているなら。 もし、投資に興味はあるけれど、何から始めていいかわからずに立ち止まっているなら。 この本は、あなたの背中を力強く押し、資産形成という長い航海の、頼れる羅針盤となってくれるに違いない。
未来への第一歩を、ここから踏み出してみてはいかがだろうか。
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